
イタリア留学を決めたあと、最初に手が止まるのはビザの話だと思います。
「語学学校に3か月だけ通いたい」「ミラノの大学に入りたい」で、必要な手続きがまったく違うからです。
先に答えを書きます。
イタリア外務省のビザポータルで国籍と居住地を日本、目的を「就学」、期間を「90日まで」にすると、返ってくる答えは「入国ビザは必要ありません」です。
同じ画面で期間を「90日超」に変えた瞬間、必要書類が7点並びます。
つまりイタリア留学の分かれ目は「学校のレベル」ではなく「90日を超えるかどうか」です。
留学を経験した立場から、公式に書いてある数字だけで整理します。
イタリア外務省のビザポータル、在日イタリア大使館、イタリア大学・研究省のUniversitalyが公開しているページを2026年9月20日に当たりました。
公表されていない項目は、公表されていないとそのまま書きます。
日本円への換算は申請日の為替で変わるため、この記事では行いません。
- ✓ 日本の旅券所持者は、就学目的でも90日までなら入国ビザが要らないと公式ページに出ます
- ✓ 90日を超えると必要書類が7点。うち1点は「入学登録または仮登録」です
- ✓ 大学の正規課程では、生活費の基準が1か月あたり460.28ユーロと明記されています
- ✓ 就学ビザの申請料は50ユーロ。日本円の現金で、申請時に払います
- ✓ 日本で申請できる窓口は東京と大阪の2つだけ。18都道県と29府県で分かれています
- ✓ 2026/2027年度の大学のビザ申請期限は2026年11月30日と公表されています
- ✓ 入国後8営業日以内に滞在許可を申請する義務が書かれています
イタリア留学は90日までビザ不要
イタリア外務省は「Il visto per l’Italia(イタリアのビザ)」というポータルを持っています。
このポータルには、4つの質問に答えるとビザが要るかどうかが出る仕組みが置かれています。
質問は、国籍、常住している国、滞在期間、滞在目的の4つです。
国籍と居住国を日本、期間を「90日まで」、目的を「就学」にして実際に送信しました。
返ってきた答えは「イタリアに入国するための入国ビザは必要ありません」でした。
続く一文は「シェンゲン圏を出発する予定日から3か月以上有効な旅券で入国できます」です。
ただし国境での書類提示の可能性
同じ結果画面の最初の行には、ビザが不要であることとは別の注意が置かれています。
「イタリア入国時、国境当局はあなたの滞在の理由と期間を裏づける書類の提示を求めることがあります」という文です。
ビザが要らないことと、何も持たずに行ってよいことは別だ、という書き方になっています。
語学学校の入学許可証と滞在先の予約は、ビザが不要な90日以内の渡航でも手元に置いておくのが安全です。
90日の数え方は「180日のうち90日」
同じポータルの「外国人の権利と義務」のページに、短期滞在の定義が書かれています。
短期滞在の入国ビザは「最初の入国日から180日の期間のうち90日を超えない滞在」のためのものだ、とされています。
つまり「90日いて、いったん帰って、また90日」という使い方は想定されていません。
この段落の一次ソース:イタリア外務省「Il visto per l’Italia」ビザ判定の質問票(国籍・居住=日本/目的=就学/期間=90日まで。2026年9月20日取得)
イタリア留学で90日超えなら必要書類7点
同じ質問票で、期間だけを「90日超」に変えました。
今度は「必要ありません」ではなく、書類と様式のリストが返ってきます。
目的を「就学」にしたときに並ぶ項目は、数えて7点でした。
| # | 公表されている必要書類(就学・90日超) |
|---|---|
| 1 | 入国ビザ申請書の様式(ポータル上から表示できる) |
| 2 | 最近撮影した証明写真 |
| 3 | 有効な旅券。申請するビザの有効期限より少なくとも3か月長い期限があること |
| 4 | イタリアでの宿泊先の証明。ホテル予約、または受け入れ宣言書 |
| 5 | 滞在に見合う生活費の証明。内務省2000年3月1日付通達の別表Aの額を下回らないこと |
| 6 | 健康保険。自国との協定によりイタリアで医療を受ける権利がない場合 |
| 7 | イタリアで受ける課程への入学登録、または仮登録 |
7点目に注目してください。
学校が決まっていないとビザの申請自体が始まらない、という順番がここで確定します。
イタリア留学の目的は7区分
この質問票の「滞在目的」のプルダウンには、就学系の選択肢が複数入っています。
並んでいるのは、就学、大学の単科履修、職業訓練、大学の正規登録、大学院、交換・モビリティプログラム、インターンシップの7つです。
同じ「留学」でも、選ぶ区分によって出てくる必要書類が変わります。
語学学校やアート系の短期課程なら「就学」、大学の学位を取りに行くなら「大学の正規登録」が対応します。
長期ビザの有効期間は91〜365日
同じポータルの長期滞在のページに、期間の上限が明記されています。
「長期の入国ビザは91日から365日の期間を持ちうる」という書き方です。
タイプDと呼ばれる国家ビザで、発給した国の領域での90日を超える滞在に有効だとされています。
3年間の学位課程でも、ビザ1枚で3年間カバーされるわけではありません。
イタリアに着いてから滞在許可に切り替える、という2段構えになります。
この段落の一次ソース:イタリア外務省「Il visto per l’Italia」ビザ判定の質問票(国籍・居住=日本/目的=就学/期間=90日超。2026年9月20日取得)
イタリア留学の生活費は「1か月460.28ユーロ」
ここがこの記事でいちばん具体的な数字です。
目的を「大学の正規登録」に変えて質問票を送ると、生活費の欄に金額が入ります。
基準は「学年度の1か月につき460.28ユーロを下回らない額」です。
この金額は「就学」を選んだときには出てきません。
就学のほうは「内務省2000年3月1日付通達の別表A」を参照する書き方で、金額そのものはポータル上に表示されません。
生活費の証明は3通り
同じ行に、何をもって証明とするかが続けて書かれています。
1つ目は、本人または家族の資力を提示することです。
2つ目は、信用が確認されたイタリアの機関・団体、または地方政府による経済的保証になります。
3つ目は、イタリアの在外公館が信頼できると判断した外国の機関・団体による経済的保証です。
親の預金残高証明で通すのが一般的ですが、公式の条文としては奨学金の支給証明も同じ枠に入っています。
大学の正規登録では保険の行なし
「就学」と「大学の正規登録」の2つの結果を並べて読み比べると、違いが3か所ありました。
1つ目は、生活費に金額が入るかどうかです。
2つ目は、宿泊先の書き方で、就学は「ホテル予約や受け入れ宣言書」、大学の正規登録は「適切な住居があること」になっています。
3つ目は、大学の正規登録のリストには健康保険の行が無いことです。
代わりに「発給の要件と手続きは、大学・研究省が外務省および内務省と合意のうえ毎年公示する規定で示される」という1行が入っています。
大学に行く人は、毎年出るこの規定と、志望校が自分のサイトに出す日付の両方を見る必要がある、ということです。
この段落の一次ソース:イタリア外務省「Il visto per l’Italia」ビザ判定の質問票(国籍・居住=日本/目的=大学の正規登録/期間=90日超。2026年9月20日取得)
イタリア留学のビザ申請料50ユーロ|日本円の現金払い
手数料は2つの公式ページに、別々の形で載っています。
イタリア外務省のポータルは、質問票の結果の下に「長期国家ビザ 50.00ユーロ」と出す形です。
在日イタリア大使館の手数料ページは、ビザの種類ごとに分けた表を出しています。
| ビザの区分 | 公表されている手数料 |
|---|---|
| シェンゲンビザ(タイプC)大人 | 90ユーロ |
| シェンゲンビザ(タイプC)6歳以上12歳未満の子ども | 45ユーロ |
| ナショナルビザ(タイプD) | 116ユーロ |
| 就学ビザ(タイプD) | 50ユーロ |
長期ビザは116ユーロなのに、就学だけ50ユーロに下がっています。
外務省ポータルの「50.00ユーロ」と、大使館の「就学ビザ50ユーロ」は一致しています。
公式ページに日本円の金額なし
大使館のページには、円建ての金額が載っていません。
代わりに「ビザ申請手数料は四半期ごとの領事為替レートに基づいて設定されている」と説明されています。
そして「毎年1月1日、4月1日、7月1日、10月1日の各四半期初めに変わることがあります」と続きます。
この記事では円の金額を書きません。公式に無いからです。
申請の直前に、大使館のページから手数料表へのリンクをたどって確かめてください。
支払いは現金のみ・原則返金なし
支払方法も明記されています。
「手数料は申請書提出時に日本円で現金にてお支払いいただきます」という一文です。
シェンゲンビザもナショナルビザも、同じ条件で書かれています。
返金についての一文は「原則として、ビザ申請手数料はビザ審査の結果にかかわらず返金されません」です。
例外は2つだけ挙がっています。
大使館または領事館がその申請を処理する権限を持たないと判断した場合と、申請が受理要件を満たさず受理不可とされた場合です。
不許可になっても50ユーロは戻らない、という前提で準備するのが正しい読み方です。
この段落の一次ソース:在日イタリア大使館「ビザ申請手数料および支払方法」(2026年9月20日取得)
イタリア留学のビザ申請の窓口は日本に2つ
質問票の結果画面には、申請先の連絡先も出ます。
日本を選んだときに表示されたのは、在大阪イタリア総領事館と在東京イタリア大使館の2つでした。
大使館のページには、どちらに行くかを住んでいる都道府県で振り分ける表が出ています。
東京18都道県・大阪29府県で計47
在東京イタリア大使館の管轄として挙がっているのは、北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、山梨県、長野県、新潟県です。
数えると18あります。
在大阪イタリア総領事館は、富山県、石川県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、兵庫県、和歌山県、鳥取県、岡山県、広島県、島根県、山口県、香川県、徳島県、高知県、愛媛県、福岡県、佐賀県、大分県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県です。
こちらは29あります。
18と29を足すと47で、日本の都道府県がちょうど全部入る計算になります。
住所は、大使館が〒108-0073 東京都港区三田2-5-4です。
総領事館は〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島2-3-18 中之島フェスティバルタワー17階です。
予約なしは受付不可
ここは見落とすと1日が無駄になる箇所です。
「ビザ申請はPrenot@miポータルから事前予約をした方のみ受け付けています」と明記されています。
受付時間は「月曜日から金曜日の午前9時30分から12時30分」です。
東京と大阪で、予約の条件も時間も同じ書き方になっています。
午後は開いていないので、地方から日帰りで行く人は往路の便から逆算してください。
なお在大阪イタリア総領事館は、ギリシャ共和国への入国に必要なシェンゲンビザの受付と審査も担当します。
この段落の一次ソース:在日イタリア大使館「ビザの申請場所」(2026年9月20日取得)
大学へのイタリア留学の締切は2026年11月30日
大学に行く場合だけ、ビザとは別にもう1本の締切が走ります。
留学生向けの手続きが公示されているのは、イタリア大学・研究省のポータル「Universitaly」です。
この手続きは2026/2027年度と2027/2028年度の2年度に有効な「2年間の有効期間」を持ちます。
2026/2027年度は「2026年11月30日まで」、2027/2028年度は「2027年10月31日」が、ビザ申請の最終期限とされています。
| 年度 | 在外公館へのビザ申請の期限 |
|---|---|
| 2026/2027 | 2026年11月30日まで |
| 2027/2028 | 2027年10月31日まで |
この期限が効くのは、Laurea、Laurea Magistrale、1段階と2段階のアカデミックディプロマといった正規課程です。
単一サイクルの課程も、この期限の対象に含まれます。
一方、マスター、博士課程、エラスムス、単科履修、ファウンデーションコースには期限の定めが無いとされています。
大学は国の期限より早い日付も可
ここは注意が要ります。
各大学は、自分の授業開始時期に合わせて、ビザ提示を求める日付を自分のポータルに示すことが可能です。
そして「その日付は2026年11月30日や2027年10月31日より前になることもありえます」と続けて書かれています。
国の期限だけを見て動くと間に合わない大学がある、ということです。
事前登録はUniversitalyのみ
ビザのための事前登録の窓口も、1本に絞られています。
ルールは「ビザ発給のための事前登録の申請は、UNIVERSITALYポータルを通じてのみ提出しなければならない」です。
このポータルは「大学・研究省の唯一の無料かつ公式なアクセスポータル」と説明されています。
つまり事前登録そのものにお金はかかりません。
事前登録が通ってもビザの保証なし
ここがいちばん誤解されやすい部分です。
「就学を理由とするビザの発給についての最終決定は、在外公館(外交・領事代表部)の専属的な権限である」と明記されています。
そして大学が事前登録の申請を検証したことは「ビザ申請のための在外公館の予約が取れる保証にはならず、ビザ発給の自動的な保証も意味しない」という扱いです。
在外公館は、就学ビザの要件を満たしているかを見るほかに、もう1つの義務を負っています。
学生に「移住リスク」が無いことを評価する義務です。
その評価で特に重視される要素として挙がっているのは3つあります。
学生本人と家族の社会経済的な状況、これまでの学業の種類と質、そして選んだ進路の一貫性です。
志望動機が過去の学歴と噛み合っているか、という点が公式に審査項目になっている、と読めます。
この段落の一次ソース:Universitaly(イタリア大学・研究省)「留学生の入国・滞在・入学および学位の承認に関する手続き 2026-2027年度および2027-2028年度」(2026年9月20日取得)
イタリア留学の入国後8営業日以内にやること
ビザが出たら終わり、ではありません。
イタリア外務省のポータルには、入国後の義務が日数つきで書かれています。
「外国人は、イタリア入国から8営業日以内に、滞在許可の申請を行わなければならない」という文です。
暦日ではなく営業日である点が、原文でも「8(8つの)営業日」と強調されています。
就学の滞在許可は郵便局から
申請の経路も、目的ごとに指定されています。
就学目的については、内務省とイタリア郵便の協定により、対応する郵便局の窓口から郵送します。
窓口の名前は「Sportello Amico」で、専用のキットの置き場所もその郵便局です。
キットの書き方については、Patronatiと呼ばれる支援団体や、認可された市役所が無料で支援すると明記されています。
発送すると、郵便局から渡されるのが、2つの個人識別コードが入った受領書です。
ユーザーIDとパスワードで、これを使うと移民ポータルで審査の進み具合が見られます。
その後、郵便局が指紋と写真の採取の予約日を伝え、最後に警察本部が滞在許可の受け取りを案内する流れです。
留学生は国民保健サービスの加入義務なし
医療の扱いも、同じページの「注意事項」に書かれています。
国民保健サービスへの加入が義務づけられているのは、養子縁組、被用者労働、自営業、家族の事情の4つの区分だけです。
就学はこの4つに入っていないので、民間の保険に入るか、国民保健サービスへ任意で加入するかを選ぶ形になります。
ただし1つだけ、はっきり「有効ではない」と書かれている組み合わせがあります。
就学を理由に滞在している人の、扶養している家族に対する国民保健サービスへの任意加入です。
家族を連れて行く予定があるなら、ここは先に確かめる価値があります。
1年以上の滞在許可には「統合合意」
もう1つ、長期の留学だけに関わる制度があります。
2012年3月10日に発効した「統合合意」です。
1年を下回らない期間の滞在許可を申請する外国人が対象だとされています。
さらに「16歳を超える外国人で、長期滞在のために初めてイタリアに入る人に向けられる」と条件が書かれています。
中身は、国がイタリア語と文化と憲法の一般原則を教える手段を提供し、外国人が市民社会のルールを守ると約束する、という相互の約束です。
クレジット制で進み具合を測る仕組みだと説明されています。
加えて、滞在許可を持つEU域外の外国人には、住む市役所での住民登録を求める義務も書かれています。
この段落の一次ソース:イタリア外務省「Il visto per l’Italia」外国人の権利と義務・長期滞在/就学(2026年9月20日取得)
イタリア留学の準備|公式の数字の順
ここまでで出てきた数字を、時系列に並べます。
| 段階 | 公表されている条件 | 出典 |
|---|---|---|
| 進路を決める | 就学系の選択肢は7区分。選ぶ区分で必要書類が変わる | イタリア外務省 |
| 学校を決める | 入学登録または仮登録が、ビザ申請の必要書類に入っている | イタリア外務省 |
| 大学の事前登録 | UNIVERSITALYポータルのみ。無料 | Universitaly |
| お金を用意する | 大学の正規課程は1か月あたり460.28ユーロを下回らない額 | イタリア外務省 |
| 予約を取る | Prenot@miポータルの事前予約のみ。月〜金の9:30〜12:30 | 在日イタリア大使館 |
| 申請する | 就学ビザ50ユーロ。日本円の現金。原則返金なし | 在日イタリア大使館 |
| 期限を守る | 2026/2027年度は2026年11月30日まで | Universitaly |
| 入国する | 長期ビザの期間は91日から365日 | イタリア外務省 |
| 着いたら | 8営業日以内に滞在許可を申請する | イタリア外務省 |
こうして並べると、イタリア留学で最初にやるべきことがはっきりします。
学校を先に決めることです。
入学登録か仮登録が無いとビザの書類が揃わず、その先の予約も申請も動かないからです。
この記事で「書かなかったこと」
最後に、公式ページに無かったので書かなかったものを挙げておきます。
ビザ申請料の日本円の金額は、公式ページに記載がありません。
審査にかかる日数も、今回見た3つのページには数字で書かれていませんでした。
語学学校に通う場合の生活費の金額も、別表Aを参照する書き方だけで、ポータル上には金額が出ていません。
イタリア語の語学力の要件についても、今回見た範囲では数字の基準が書かれていませんでした。
これらは、志望校の募集要項と、申請直前の公式ページで必ず確かめてください。
制度は年度ごとに更新されます。
この記事の数字は、すべて2026年9月20日に公式ページで確認したものです。
この記事の一次ソース:イタリア外務省「Il visto per l’Italia」/在日イタリア大使館「ビザ」/Universitaly「Studenti stranieri」(いずれも2026年9月20日取得)
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